オペラ「夢遊病の女」

ベッリーニで狂乱の場といえば、村娘アミーナがカンテラを下げて、丸木橋を渡る場面。彼女は眠りつつも夜中にさまよう夢遊病。浮気を疑った婚約者に絶縁を申し渡され「ああ、信じられない…」と嘆きの中に歌います。ベルカントの響きが美しい旋律を奏でます。

先日、ピアノ伴奏者がオペラサロンに来て下さいました。いつもは私のピアノ伴奏 (;^_^A アセアセ で歌うサロンの方たちも嬉しそう。次回は「夢遊病の女」を伴奏してねと、ちゃっかり、お約束までしたのだとか。じゃあ、次回テーマはこのアリアで決まりかな。

ベッリーニ歌いとされる特質を持った、声があります。このアリアをリクエストした時のエピソードがあったので、記してみましょう。

『声楽の専門の方に、
 歌ってくださいとお願いしたことが何回かあるのですが、
 みなさんベッリーニと聞いただけで尻込みされます。
 確かに美しい息の長い声が必要ですが、
 ベッリーニは難しいのでしょうか?
 このアリアを歌える歌手はほんとに幸せだと思います。
 こんなに美しく感動的な曲を
 レパートリーにできるのですから。』

ウッソー!!このご意見は驚きで、ベッリーニヴェルディ向きの、どちらかと言えば重めの発声と表現力の、ドラマティックソプラノの私には 「ああ、信じられない!」 ことなのです。

学生時代は、暗く重いアリアを主に勉強していました。これがまた、身の内から歌声が湧いてくるようで、このメロディーなら、自由自在に表現が繰れてしまうのです。メゾ・ソプラノ、あるいはベッリーニやヴェルディが向いていると確信。

リリックやコロラチュラでないと再認識して、ショック~ 
プッチーニはちょっとかするけど、モーツァルトには向いてない~  
(w_-; ククッ・・・ 

明るく透明感のある軽やかな歌声が、逆にいえばホントに羨ましい。発声も喉も歌手により千差万別。ヴェルディが歌えるからといって、手放しで喜べるものでないことは、声楽の同胞も知ってのとおり…。ないものねだりより、声の特性を磨く方が先決だったりするのです。人生も同じだわ!!

人生を重ねるうち、声って変化してゆくものです。結婚してかわいいベイビーもでき、アメリカから帰国。お伺いしたホームレッスンで、メゾ・ソプラノの私に、先生は宣言して下さいました。
「あなた、ドラマティック・ソプラノになってるわよ!!」
憧れたソプラノに手が届いた嬉しい一瞬でした。

さて、この夢遊病というもの、現実に目撃したことはありませんが、夢遊病のママのような行動をとるのですね。動画に登場するママは、特異な病を持っていますが、息子の愛情に見守られて、親子仲良し。なんだか幸せそうです。アミーナの婚約者エルビーノとよりが戻り、めでたくハッピーエンドで迎える このオペラの結末のようです。

こんな夢遊病のママと たのもしい息子なら、笑っていろんなことを切り抜けてゆくような そんな気がします。アミーナとエルビーノもきっとそうですね。

♪~・~♪~・~♪~・ ミニ レッスン ・~♪~・~♪~・~♪

ソプラノはお姫様キャラ。メゾやアルトは、魔法使いやいじわる姫君に伯爵夫人。なぜだかこんなキャラクターが多いです。

ころころ声の転がる高音の得意なコロラチュラ、抒情的にのびやかに歌い上げるリリック、劇的表現力をもつドラマティックなど、区分はソプラノの中でもさらに細分化されます。

男性は高い順にテノール、バリトン、バス。

音域でパートが分かれますが、高い声が出ないからと低いメゾやアルトを歌っている方は、自分の声の特質を見極めましょう。声質では、ソプラノの可能性がありますよ。

伝説の歌姫マリアカラスも、実はメゾからソプラノへの転向組です。コロラチュラもリリックもドラマティックも彼女にかかると、カラスの歌でしかなくなってしまいます。

カラス自らが「夢遊病の女」の教鞭をとった記録が残されています。後進指導にあたる際、語った彼女の言葉とは「どんな若い学生からも学ぶものがある。」…偉大なソプラノとして名を成した後も、音楽の㒒(しもべ)として生きる謙虚な姿勢に、本物のプリマドンナのあり方を感じます。

それでは公開レッスンの扉を叩きましょう。
ジュリアード音楽院 マスタークラス

さあ!ホールに満ちる歌声を聴いてみて下さい。
オペラ劇場へのいざない 演奏:マリア カラス
プロフィール

Diva

Author:Diva
中野陽子

声楽家 ソプラノ歌手
山田耕筰の孫弟子
声楽の健康科学 研究者


相愛大学音楽学部
声楽科卒 芸術学士
・109才まで現役指導者
 故 嘉納愛子氏に師事


サンフランシスコ
コンサーバトリー
音楽院[4年制音大]
にて研鑽を積む


大阪教育大学大学院
教育学研究科
健康科学専攻
人間科学コース
発達人間学研究修了
修士(学術)


ハルカスを拠点として、マスメディア・デパート・大学関連講座の講師をつとめています


●読売新聞大阪本社・讀賣TVを運営母体とする文化センター講師


●ハルカス近鉄本店 文化サロン他 講師


●大阪健康福祉短期大学
健福ハルカス大学 講師


声楽を軸に、歌う日々やサンフランシスコ暮らしの懐古をエッセイ風に綴ります。

リンク
カレンダー
06 | 2018/07 | 08
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
月別アーカイブ
カテゴリ