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ホスピタル・コンサート

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  病院でコンサートをさせていただいた。中学生の頃に通学路にあった建物だが、今は大きな総合病院だ。音大時代の友人がコンサート出演に誘ってくれた。彼女は、ふらりとこのホールを訪ね、ポロンポロンと癒しのピアノを弾いて帰るのだそうだ。

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 今回は春の行事としてのコンサートだった。入院患者さん・付き添いの家族・お医者さまに看護師さん・栄養管理士や理学療法士さんがホールに集い、音楽に向き合ってくださった。理学療法士は初々しいお兄チャンたちだ。しかし対 患者さんとなると、まなざしは「プロ」、若いながら頼もしい。

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 演奏に誘ってくれた彼女は、「音楽学」を専攻してショパンの研究で卒業した。奏でる音色は、ピアノ専攻のそれとは異なると感じる。もちろんピアノ専門の奏者が上手いに決まってるが、彼女の音は、自然に場に溶け込んで主張しない。ふらり立ち寄って弾くピアノの音色が、皆に喜ばれる由縁だと思う。


 一方 私は、自己主張の強いオペラ・アリアも歌う声楽専攻だった。そのため、「ソフトな演奏の方が患者さんには良いかしら」「パワフルな歌声すぎて患者さんは疲れないかしら」と、珍しく迷いつつ演奏していた。


  コンサート終了後、看護師さんに迷った話をしてみた。すると、「良いと思うものがいいんですよ。良いもの聴かせてもらえて嬉しいです!」と返事が返ってきた。救われた思いだ。「人として」あるべき表現が、誰にとっての一番でもあると思えた。

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 この病棟には、素晴らしい女医さんがおいでだ。あったかい人間力をもって終末医療に専心していらっしゃる。ふつうめったに出会えないお医者さまが、演奏を終えた私たちにこっそり打ち明けられた。忙しい努めの心の余裕にピアノを始めたと。こんな方の施すケアは、「生きる」ことに焦点がおかれ、入院患者さんの多くは、人生のラストランを幸せに走り抜かれることだろう。


 お目通し頂ければと、紀要に掲載の論文抜き刷り2冊と著書を届けた。興味深そうに本を見て、お医者さまは快く受け取ってくださった。「より良く生きる方法としての声楽」をベースに書きあげた本だ、こんな方に読んでもらえれば本望だ。

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 音大の同窓生との共演は、奏でるメロディが理解しやすい。コラボはムリなく進む。教育で育まれた「音楽性」が、演奏の底流にあるからだ。修了した大学院の健康科学専攻では、看護師さんの院生やお医者さまの教授がたくさんいて、私は医療のフィールドで「声楽と科学」を融合させていった。それでもなお解消されずにいた疑問や迷いは、今回のホスピタル・コンサートでスッと腑に落ちたように思う。

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 ホールの窓の外には早くも葉桜。栄養管理士さんたちによる和菓子がふるまわれた。「桜のゼリー」に浮かぶ花びら、「桜餡のどら焼き」の白餡にちりばめられた桜の花。ほんのり桜の香りのするスイーツで、のお茶の時間はお花見気分だった。その上、クッキーのおみやげまでいただいちゃった。静かに心満たされた本日のコンサートは、厳しい医療現場で施された音楽療法というよりは、臨床の場でなごやかに展開された芸術演奏であったと言おう。


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プロフィール

Diva

Author:Diva
中野陽子

声楽家 ソプラノ歌手
山田耕筰の孫弟子
声楽の健康科学 研究者


相愛大学音楽学部
声楽科卒 芸術学士
・109才まで現役指導者
 故 嘉納愛子氏に師事


サンフランシスコ
コンサーバトリー
音楽院[4年制音大]
にて研鑽を積む


大阪教育大学大学院
教育学研究科
健康科学専攻
人間科学コース
発達人間学研究修了
修士(学術)


ハルカスを拠点として、マスメディア・デパート・大学関連講座の講師をつとめています


●読売新聞大阪本社・ 讀賣TVを運営母体とする文化センター講師


●ハルカス近鉄本店  文化サロン他 講師


●大阪健康福祉短期大学 ハルカス講座 講師


声楽を軸に、歌う日々やサンフランシスコ暮らしの懐古をエッセイ風に綴ります。

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