ノッテ ステラータ(星降る夜に)

 先日、テレビである歌声に吸い寄せられてしまった。歌声というより歌い方の振る舞いにじっと見入ってしまったという方がただしい。K-Classic…Kポップスとはよく聞くが、Kクラシックである。熱烈な韓国ファンと言う訳ではもちろんない。…なのにである。



 グループは「フォルテ・ディ・クアトロ」。曲は、「ノッテ ステラータ(The Swan ・白鳥)」。白鳥は言わずと知れた「サンサーンスの動物の謝肉祭」だ。



 彼らの発声や芸術表現の基礎は素晴らしい。メンバーの構成は以下の通りだ。○TJソン(バス):ソウル大学校で学んだ安定感のある低音の持ち主。○イ・ビョリ:パワフルなハイトーン。専門教育は受けず、神学大学を卒業してオーディションにチャレンジ。○フンジョン(テノール):ミュージカル俳優で表現力抜群の魅力的なヴォイスを持つ。リーダー。○キム・ヒョンス(テノール):リリカルで伸びやかな歌声が魅力。ソウル大学校クラシック声楽部の博士号を持つ。


 若者で構成されたグループの振る舞いと歌声に、「あ、もっと声楽的を極めていいんだ、もっと練習していいんだ」と教えられたようで涙してしまったのだ。とかくソプラノ歌手ですと言うと皆にひかれてしまうので、歌い方もお茶を濁してしまうのだが、このグループのように正統派の声楽表現を追求しても広く人の心が掴めると知った。


 「今回の冬季オリンピックのフィギュアやパシュート他を観戦して、努力したら努力した分だけ報われることを知った」と、レッスン生が感想を述べていた。全く同感だ。自分なりの芸や技術や暮らし方や健康維持への方向付けは、このK-Classicの若者たちがくれたサジェッションと同様のような気がする。 



羽生クンは冬季オリンピックのエキシビジョンの時、IL VOROバージョンで舞った。




 話は変わるが、日本のTVでは、カラオケの点数で優勝を競う番組が今大流行だ。カラオケは、手軽で良い音楽環境を提供してくれる。しかし、カラオケという機械に、歌の上手さを判定させることには大いに疑問を持つ私だ。平均律の正しい音程・リズムの正確性、装飾音での加点などは、まさに本当の歌とは究極の対極にある話だ。本当に歌の上手い挑戦者はさておき、人の心に届く歌い方では、バンバン落選するのが現状なのだもの。


 最初に紹介したグループは、韓国の「ファントム・シンガー」という番組の優勝者たちで結成されているそうだ。そのうち、韓国においてけぼりをくっちゃうよ。…というか、まさに今、声楽を専門とする者がK-Classicに涙してしまったのはなんなんだ。


 「白鳥」と言えば、大学院の授業で音楽性をたくさん吸収させていただいた、チェリストの大木教授。私たちたった3人の院生のために、ピアノの田中名誉教授をお誘いくださって、確かな技術に裏打ちされた魂の共演をご披露くださった。先生を思うにつけ、韓国の若いニイ(兄)ちゃんたちの正統派の歌声に触れるにつけ、まっだまだヘタクソで精進が足りんと思う私であった。


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プロフィール

Diva

Author:Diva
中野陽子

声楽家 ソプラノ歌手
山田耕筰の孫弟子
声楽の健康科学 研究者


相愛大学音楽学部
声楽科卒 芸術学士
・109才まで現役指導者
 故 嘉納愛子氏に師事


サンフランシスコ
コンサーバトリー
音楽院[4年制音大]
にて研鑽を積む


大阪教育大学大学院
教育学研究科
健康科学専攻
人間科学コース
発達人間学研究修了
修士(学術)


ハルカスを拠点として、マスメディア・デパート・大学関連講座の講師をつとめています


●読売新聞大阪本社・讀賣TVを運営母体とする文化センター講師


●ハルカス近鉄本店 文化サロン他 講師


●大阪健康福祉短期大学
健福ハルカス大学 講師


声楽を軸に、歌う日々やサンフランシスコ暮らしの懐古をエッセイ風に綴ります。

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