丸善 京都本店

 奈良と京都へ出講の日。レッスンを全て終えて向かったのは河原町。音大生の頃、京都へよく遊びに来た。この街は若かった学生の頃の懐かしい匂いがする。

 目的は丸善・京都本店。そう、あの梶井基次郎の「檸檬」で有名な書店だ。京都の夕暮れ、白熱灯がぽっと灯る頃、いつもこのレモンを思い出していた。この本には、自分の学生時代に、ささやかな贅沢をまねした一節がある。

 「生活がまだ蝕まれていなかった以前私の好きであった所は、たとえば丸善であった。赤や黄のオードコロンやオードキニン。洒落た切子細工や典雅なロココ趣味の浮模様を持った琥珀色翡翠色の香水瓶。煙管、小刀、石鹸、煙草。私はそんなものを見るのに小一時間も費すことがあった。そして結局一等いい鉛筆を一本買うくらいの贅沢をするのだった」檸檬より
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 私が京都に憧れを抱くワケは、父が学生時代をここで過ごしたこと。祖母も高等女学校で大正浪漫そのものの乙女時代を過ごしたこと。父も祖母も、丸善の書店に立ち寄っていたかも知れない。

 いったん閉店したこの書店は2015年、10年ぶりにオープンした。しゃれた都会的なビルの中に生まれ変わった丸善が入っている。

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 ここへ来た目的は、棚に並ぶ自分の本に出会うためだった。河原町の雑踏を抜け、たどり着いた本の杜は、外界の喧騒がウソのようだ。嬉しいことにオペラや声楽の棚に本は並べられていた。怪しげなボイトレ本と一緒でなくて良かった。檸檬は置いてこなかったけれど、著者としてお店にご挨拶してきた。

 声楽という一日の業を成し終えお腹はペコペコ。併設のカフェで一人、ここで自分の本に出会えたお祝いをやった。早矢仕ライス(ハヤシライス)、そしてもちろんレモンケーキ。大学院で論文をまとめていた頃は、こんな日が来るなんて思いもしなかった。

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  憧れの書店に本を置いていただけたのは、編集者さんの尽力に他ならない。ネットに強い大手との連携で、札幌から沖縄まで全国展開となり本が行き渡った。出版社ペンコムさんが切り開いて来られた道を思う。

 おかげで丸善やジュンク堂のウェブサイト honto の音楽理論ランキングで一位だそうだ。音大生のバイブル「音楽理論」よりも上だなんて。

11/15 honto ランキング  ペンコムさんからのお知らせ
11/12 honto ランキング  ペンコムさんからのお知らせ 

入手くださいました皆さま方、本当にありがとうございます。そしてブログを訪れてくださる方、いつも読んでいただき心より感謝いたします。

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 さて、本を書いているうちにさらにまとまってきた考えは、大学の論叢(紀要)に投稿する論文(…と言えるかどうか、論文の切れっぱしかも)に仕上げて受理された。書く方は少し一段落かな。また演奏の練習に戻らなくちゃ…。新年のレクチャー付きコンサートも控えている。
プロフィール

Diva

Author:Diva
中野陽子

声楽家 ソプラノ歌手
山田耕筰の孫弟子
声楽の健康科学 研究者


相愛大学音楽学部
声楽科卒 芸術学士
・109才まで現役指導者
 故 嘉納愛子氏に師事


サンフランシスコ
コンサーバトリー
音楽院[4年制音大]
にて研鑽を積む


大阪教育大学大学院
教育学研究科
健康科学専攻
人間科学コース
発達人間学研究修了
修士(学術)


ハルカスを拠点として、マスメディア・デパート・大学関連講座の講師をつとめています


●読売新聞大阪本社・讀賣TVを運営母体とする文化センター講師


●ハルカス近鉄本店 文化サロン他 講師


●大阪健康福祉短期大学
健福ハルカス大学 講師


声楽を軸に、歌う日々やサンフランシスコ暮らしの懐古をエッセイ風に綴ります。

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