ボブ・ディランとガロ

70年代に女子大生だった。御堂筋の銀杏が秋色なる頃、少し風が冷たくなった街を楽譜を小脇に抱えて歩く、私は声楽科の学生だった。オペラ・アリアの譜読み、週に2回の声楽の授業、当時はさらに先生のお宅でのホームレッスンもあり、聴音にソルフェージュ、西洋音楽史や副科のピアノと音楽漬けの毎日。加えて一般教養だ。

正統派の西洋音楽教育をイヤというほど仕込まれていた訳だが、クラシック音楽からエスケープするのもしばしば。そんな時に流れていたのが ガロ の「学生街の喫茶店」。

君とよくこの店に 来たものさ
訳もなくお茶を飲み 話したよ
学生でにぎやかな この店の
片隅で聞いていた ボブ・ディラン


ボブ・ディランの曲は、ちょっと大人びた英語の達者な子に任せて、私はガロの「学生街の喫茶店」専門だった。ちょうどリアルタイムで女子大生だったから、当時流行った白いギターの弾き語りなんかしてカッコつけてた。ボブ・ディランはあんまり知らないけれど、学生街に流れる曲のムードは想像できた。
Z322019345[1]
(↑ガロの3人 ロンドン・ポップ調?あるいはヒッピー?当時のファッション)

それでいて、現実は、正統派西洋クラシック漬けの日常が追っかけてきて学生の本分に身をやつす日々。秋が深まると、70年代の空気が懐かしくてたまらない。

…ったって、時代は変わった。ボブ・ディランがノーベル賞を文学で受賞する時代だもの。この年齢で再度 院生に戻ると、キャンパスから見上げる漆黒の闇にハルカスの夜景が浮かびあがる。「喫茶店」なんてもんでなく、「カフェ」でスマホでラインのスタンプのやりとりだ。

あの時代の歌詞を改めてみると…

学生でにぎやかな この店の
片隅で聞いていた ボブ・ディラン
あの時の歌は 聞こえない
人の姿も変わったよ 時は流れた


ウソ…!あの頃すでに「ボブ・ディラン」や「時の流れや移り変わり」が歌われてた!! 時代は移ろうと、ディランは普遍的に変わらないものを吹く風の中に感じていたのね、たいしたもんだ♪
プロフィール

Diva

Author:Diva
中野陽子

声楽家 ソプラノ歌手
山田耕筰の孫弟子
声楽の健康科学 研究者


相愛大学音楽学部
声楽科卒 芸術学士
・109才まで現役指導者
 故 嘉納愛子氏に師事


サンフランシスコ
コンサーバトリー
音楽院[4年制音大]
にて研鑽を積む


大阪教育大学大学院
教育学研究科
健康科学専攻
人間科学コース
発達人間学研究修了
修士(学術)


ハルカスを拠点として、マスメディア・デパート・大学関連講座の講師をつとめています


●読売新聞大阪本社・讀賣TVを運営母体とする文化センター講師


●ハルカス近鉄本店 文化サロン他 講師


●大阪健康福祉短期大学
健福ハルカス大学 講師


声楽を軸に、歌う日々やサンフランシスコ暮らしの懐古をエッセイ風に綴ります。

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