大阪クラシック

 フェスティバルホールから遠くないところに、堂島ロールでお菓子の世界を一世風靡したモンシェールがある。ブームも去り落ち着きを取り戻した店先はパリの街角のよう…。ここから歩いて大阪クラシックの会場「スタバ」へ向かう。音大生の頃は、本町から大国町乗換で肥後橋のフェスにしょっちゅう通った。聴くことは音大生の重要な勉強のひとつだった。肥後橋は若い頃の足跡が残る懐かしい場所だ。

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 実は、ホールのどのあたりの座席が一番いい音で聞こえるかあまり知らない。舞台からお客さま方と対面する声楽なので、いかに納得できる音を客席に届けるか、また舞台で発した音がホールの空間にどのように響くかは意識しても、聴く側の音環境については想像の範囲を越えてしまう。こちらとしては、隅々のお客様まで演奏が行き渡るようひたすら務めるのみなのだ。

 
 だから、大阪クラシックが始まったらお客さんに徹する。やっぱり、どの座席に座っても、演奏する側の心もちに注意はフォーカスしてしまう。けれど、声楽以外の管・弦・打の方達とのお付き合いはあまりないから、オケの奏者の素の姿に出会える良い機会。並ぶのもいとわず、せっせと音楽鑑賞に出かける。


 堂島ロールのお菓子屋さんから「大阪クラシック」の会場となる肥後橋・スタバまで歩いて行った。開場までの待ち時間に本を読む。この本は、世界の小澤征爾を育てた高名なチェリスト、齋藤秀雄の講義録だ。我が母校の音楽学部長でもあった。この本を通して、学生時代に受けた音楽教育を再確認する意味でも、待ち時間は苦にならない。

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 お隣に並ぶ方が話しかけてきた。本日出演の大フィルのバイオリニスト・久貝さんのお母さまだった。関係者であっても特別待遇などはなく、一般として並んでおられた。はあ…こんなことからも、演奏者の人柄に類するものはにじみ出るものなのだと好感を抱いた。


 お聞きするところによると、娘さんは相愛の子供の音楽教室に京都から通っていらしたとか。読んでいた本が、相愛の音楽学部長を務めた齋藤先生の講義録だから、ご縁はつながるものだ。

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 演奏はスキルなど申し分なく素晴らしかった。衣装もヴィオラ奏者と反対色で揃えていた。頭に飾ったおリボンまで反対色のお揃いだ。新進気鋭の演奏家は清楚で可愛らしかった。秀逸なそのスキルは、音楽の深さを醸し出し、人の心を満たす音楽を奏でるための道具。これから果てしない音楽人生を歩み、さらに精進してねと、聴衆の一人であるオバサンは想う。

 
 待ち時間に読んだ「齋藤秀雄・講義録」には、楽譜に書かれた音符や記号以上の深い意味を読み取ることが書かれていた。また、曲の解釈には無数の表現のあることも。言葉にすると薄っぺらになるけど、「音楽」とは演奏者の存在そのものであることが語られていたような気がする。うーん…大阪クラシックを機に考えたことっていっぱいあるなあ。堂島ロールで喜んでる場合やないやん次回に続く。
プロフィール

Diva

Author:Diva
中野陽子

声楽家 ソプラノ歌手
山田耕筰の孫弟子
声楽の健康科学 研究者


相愛大学音楽学部
声楽科卒 芸術学士
・109才まで現役指導者
 故 嘉納愛子氏に師事


サンフランシスコ
コンサーバトリー
音楽院[4年制音大]
にて研鑽を積む


大阪教育大学大学院
教育学研究科
健康科学専攻
人間科学コース
発達人間学研究修了
修士(学術)


ハルカスを拠点として、マスメディア・デパート・大学関連講座の講師をつとめています


●読売新聞大阪本社・讀賣TVを運営母体とする文化センター講師


●ハルカス近鉄本店 文化サロン他 講師


●大阪健康福祉短期大学
健福ハルカス大学 講師


声楽を軸に、歌う日々やサンフランシスコ暮らしの懐古をエッセイ風に綴ります。

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