音楽教育の底に流れるもの

コンサートのデリバリーをします。音楽の配達人は、高校の同級生Sちゃん・大学の同級生Hさんと私の3人。SちゃんとHさんは私とは別の中学で一緒でした。3人同時に同じ学校ということはなかった訳ですが、この三角関係、初めてつながり音合せの機会が持てました。

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↑昔は船場のど真ん中、現在は南港、母校のキャンパス

Hさんと私は同じ大学でした。彼女のピアノと私の歌は、長い年月のブランクを感じさせず実にしっくり溶け合いました。「オソルベシ…学校教育!」です。通奏低音のように、学校の教育によって変わらず育まれる音の色合いってあるといつも思っています。

音楽の世界で生きているので、共演者(伴奏者)とのお付き合いは日常茶飯事。大阪音大に多くの友人がいるのはもちろん、大阪芸大にもお知り合いはたくさん。共演(特に声楽伴奏)して頂くと、学校それぞれの音楽性の違いをよく感じます。

個人の主観によるものと断ってですが、大阪音大の音には「軽やかな明るさ」があります。強いて言うとモーツァルトがお得意かなという感じ。事実、声楽科の友人たちはモーツァルト歌曲が得意です。大阪芸大の演奏には「ダイナミック」な曲風を感じます。学内に常に美術の空気が流れているためか、自由で器の大きい曲風が演奏に感じられます。5月末には、同志社女子大の方たちとの共演を控えているので、醸し出される音楽がどんなものか楽しみです。

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上は校章。京都芸大のHPにはデザインされた紋章が無くて漢字のみです。さすが京都やなあ。京都芸大や大阪教育大学は国立、頭脳明晰な者の集まりであることは、音大生たちにとっては共通の認識です。京芸に若き作曲家のお知り合いがいますが、彼の作曲に感じる教育の土壌とは「繊細で美しい」。彼固有の才能なのかもわかりませんが、とにかく緻密で時に大胆、まるで京織物を思わせる作品です。

大阪教育大学では院生でもあったので、演奏を聴く機会が多くありました。大教の演奏を一言で言うなら、「楽譜に忠実かつ的確な解釈」です。身内なので、ここはひとつ厳しく辛口で、舞台においての『華』や『覇気』があれば申し分ないとコメントしておきましょう。

大人になってからは、国立(くにたち)や武蔵野、昭和音大の方々とも共演しています。東京音大に進んだ高校の同級生もいて、関東方面の学校が育む音楽も興味を抱くところです。

以上、育った土壌で異なる音楽表現への見解でした。私立の音楽大学を卒業し、国立大学で声楽と心身について研究し、異なる環境に身を置いたからこそ持てた感想です。音楽家である私たちは、その演奏において、しかるべき人が聴けば「あの大学らしい~♪」ということも有りで、様々な学校を代表しているとも言えるのです。

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高校・大学と育った環境が同じ演奏家に、先輩のピアニストAさんがいます。彼女がピアノで語り歌う音の言葉は、すぐ理解できてしまいます。かつて音楽学部長を務めた山田耕筰先生がおっしゃったという「歌はお話、お話は歌」が、現代にも生きているのでしょう。また、「音楽は宗教なり」に通じる精神性も教育されたのでしょう。

ピアニストAさんは、私の尊敬する先輩。観光案内のパンフレットにある旧家の町家がご実家です。ここで秘密のコンサートを定期的にしておられます。ピアノの研究を絶やしません。堺の和菓子とお茶をふるまいつつの等身大のリサイタルはホントにステキ。ライフスタイルに演奏が溶け込んで、心に余裕ある優雅な暮らしぶりはお手本です。涼しげに湖面をスーイスイと渡っているように見えるけれど、水面下の水かきはきっと強靭。意志の力は相当なものだと拝察します。

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語り歌う…今回の音合せで、同窓のHさんのピアノにも同様の音楽性を感じました。この同窓の演奏を締めてくれたのが、高校の同級生Sちゃん。旧友に恥ずかしくない演奏をという素直な気持ちがみんなに芽生えました。校風と伝統に育まれた感性と技術を、さらに磨こうと思えた「音合せ」の一日…そういえば、声楽の恩師・嘉納愛子先生はレッスンを、【研究】と表現されたことがあったのでした。

プロフィール

Diva

Author:Diva
中野陽子

声楽家 ソプラノ歌手
声楽の健康科学 研究者


大阪教育大学大学院
教育学研究科
健康科学専攻
人間科学コース
発達人間学研究修了
修士(学術)


相愛大学音楽学部
声楽科卒 芸術学士
・山田耕筰の孫弟子
・声楽の恩師は
 109才まで現役指導を
 貫いた(故)嘉納愛子氏


サンフランシスコ
コンサーバトリー
音楽院(4年制音大)
にて研鑽を積む


ハルカス・サロン講師


大阪健康福祉短期大学
アバンスペース
健福興隆ハルカス大学
講座 講師

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