天国にゆかれた先生

京都サロンから帰る途中、我が声楽の恩師「嘉納愛子先生」が天国にゆかれたと知らせが入りました。今年109歳になられた先生ならば大往生。けれど先行く偉大な恩師がこの世から急にかき消えてしまうと、その教えを引き継ぐ私たち弟子は、その責任のあまりの大きさに途方にくれてしまいます。

嘉納先生ご自身も、山田耕筰という偉大な師をなくした時、使命感を持って耕筰歌曲を後世に伝えようとなさったのでしょう。これは今だから深く解ることです。先生は耕筰歌曲を伝えるレッスンの際、「次はあなたたちが後進に伝えるのよ」とおっしゃっていました。

同窓会「沙羅の木会」にも訃報が掲載されています  ☆☆☆

mig[1] 100歳を超えなおお美しい嘉納先生

今は天国で、早くに亡くされた息子さんや夫君(耕筰の良き理解者)との再会に喜んでおいでのことだと思います。山田耕筰先生も「本当によくやってくれました」とねぎらっておられることでしょう。

嘉納先生との初のお目もじは、中学になり、母に連れられお家を訪ねた時でした。歌声を聴いてもらいに行ったのです。「高校生になったらいらっしゃい」ということで、高校進学と共にご自宅でのレッスンが始りました。先生がおっしゃるには、私は唯一、厳しく叱ってレッスンした生徒なのだそうです。なぜ、この声が出ないの!この高さが歌えないの!と、先生自身が歯がゆかったと、後におっしゃっていました。下の写真は山田耕筰と共に映る嘉納先生。耕筰の指導のもとにあった若き日の音楽家の方たちです。

100-52-004[1] 

驚異の90歳まで大学での教育にたずさわっておいででした。100歳を過ぎてのブレイクはマスコミの報道にあるとおりです。106歳の時に同期の門下生が集ってお宅にお伺いし、レッスンを受けました。この時、本の出版予定があるとおっしゃっていました。

出版が叶ったご本の中に、「当時私がとても厳しく教えた子です」という一文があります。叱って育てた生徒はあなた一人と常々先生がおっしゃっていたので、この本の厳しく教えた子とは、私のことではないかと思っています。「ある時彼女の歌を聞いて、『これで大丈夫だ』って思った」と書かれた部分があります。先生のおっしゃったことがパッと会得できた瞬間を書いたもので、数あるレッスンの中であの時のあの曲のあの発声だと今も実感できるのです。

「これで上手にならなかったら、私の教え方が下手なんだって思ってね」とも書かれています。先生にとっても真剣勝負だったのだなあ…この会得できた瞬間から、演奏への意識が変わったことは確実です。本のこの部分は、先に仕上げた修士論文にも、声楽への新たな動機づけとして、引用させて頂きました。

3827_1430461767[1] 151201_YamadaKousaku_06a_HirokoYamada_KanouAiko[1]

昨年末の「山田耕筰没後50年記念音楽会」で、お元気な姿を拝見できることを楽しみにしていました。上の写真は、メッセージを代読する赤石先生の写真です。耕筰先生との愉快なエピソードとともに、再び元気になって皆の前に姿を表したいとの先生の言葉が読まれ、108歳の意欲は衰えるところを知りません。

201511191558[1]

私は、京都サロンの方が下さった冊子の、先生のこの笑顔が一番好きです。お花で飾られたピアノの小さな陶器を持つ先生の微笑みは、まるで少女のよう。ユーモラスにお話される時と違って、仕草から何から可憐です。レッスンの時は厳しく叱られたので、私にとっては怖い先生だったけれど、100歳過ぎるとこんな風に微笑まれるのですね。

耕筰作曲「からたちの花」にお墨付きが頂けたこと、最後のレッスンでは「La Wally」が上手く歌えるようになったと誉められたこと、レッスンで授かったこれらの宝物を大切に、これからも一生歌い続けてゆきます。下の写真は107歳の時。このお洋服のセンス、矍鑠(かくしゃく)としたご姿勢、つま先まで神経の行き届いたたたずまい…これが我が恩師 嘉納愛子先生、山田耕筰の愛弟子です。

2014060803k[1]

プロフィール

Diva

Author:Diva
声楽家 ソプラノ歌手
健康科学(歌唱)研究者


大阪教育大学大学院
教育学研究科
健康科学専攻
人間科学コース
発達人間学研究修了
修士(学術)


相愛大学音楽学部
声楽科卒 芸術学士
・山田耕筰の孫弟子
・声楽の恩師は
 109才まで現役指導を
 貫いた(故)嘉納愛子氏


サンフランシスコ
コンサーバトリー
音楽院(4年制音大)
にて研鑽を積む


ハルカス・サロン講師


大阪健康福祉短期大学
アバンスペース
健福興隆ハルカス大学
講座 講師


♪******♪******♪


声楽とは
歌声を楽しむこと

花束の香りを
かぐように息を吸い
花びらの音符を
ちりばめて
歌いましょう♪

クラシック歌唱は
心身を健やかに導く…
そんな研究を
アカデミックに
発信しています

かつて暮らした街
サンフランシスコの
思い出とともに、
歌が紡ぐ日々の暮らしを
エッセイ風に綴ります

リンク
カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
月別アーカイブ
カテゴリ