サンフランシスコがやってきた!

外国暮らしの時、お世話になったピーター&テレサ。
彼らの娘ジャーレーが、サンフランシスコの風と共にやってきた。

淡路島が揺れた朝、阪神・淡路の18年前が脳裏をよぎる。阪神間のみんなは大丈夫…?! どうやら大事には至らなかったことを報道で知る。地震の余波で、交通ストップ・ダイヤの大幅の乱れが終日続く中、彼女と再会できた。

「ジャ~レ~!!」ハグし合ったら、あったかい思いが伝わった。

ちなみにサンフランシスコは地震が多い。私達も何度か出くわした。ゴールデン・ゲート・パークの中のアカデミー・オブ・サイエンス(自然博物館)には、よく子ども達を連れて行ったが、ここには地震の体感施設があった。帰国後、ベイブリッジの橋げた崩落のニュースを聴き胸を痛めた。ベイエリアに架かるこの橋を車でよく渡ったのだ。

ピーター夫妻はサンフランシスコ暮らしの恩人だ。海外生活を始めた当初から世話をしてくれた。スムーズに生活が送れるよう、郊外型の巨大スーパーマーケットへ同行してくれた。暮らしに慣れるまでは、ウィークエンドに色々な所へ連れ出して、ベイブリッジを渡ってUCバークレーへ案内してくれたこともある。私達家族の帰国までの日々を常に支えてくれていた。

ピーターはUCSFで基礎医学に携わる生化学のドクターだ。当時は世にバイオテクノロジーの概念もなかった。その草分け的な時代の夫の同僚だ。

そして彼は、ピアニストでもあった。天は科学と音楽の二つの才能を授けるものだ。カリフォルニア州立大学のホールの演奏会に招かれたことがある。彼の同僚のジョンの車でウキウキ出かけた。開演の前にピーターは言った。
「非常にナーバスだ」ふうん、そうか。日本語なら
「アガル」ってことね。
にもかかわらず舞台の彼は、とてもステキだった。時折たずねる夫の研究室、そこで見かける研究者の姿とはうってかわって見えた。

余談だけれどコンサート帰りもジョンはキチンと送り届けてくれた。去り際「じゃあオヤスミ」と頬にKissしていったが、彼らにとっては挨拶代わりの習慣も、日本人にはポーっとなる突然の出来事だよね。

ニューヨークの学会に私達母子も同行させて頂いたことがある。
終了後はラボ(研究室)の皆さんの5番街見物にご一緒した。
「ヨーコ、ここでピアノのコンサートをしたことがあるんだ」
ピーターが指差した建物はシックな黒い壁の小さな教会だった。

ベイビーの次男は抱っこだったが、5才だった長男は、大人達と一緒にニューヨークの街を歩き回った。疲れて歩けなくなったらピーター始め屈強な大男のラボの連中が、かわりばんこで抱っこしてくれた。5才ともなると大変な体重だ。彼らの頼もしいサポートに、私達家族はいつも助けられていた。

UCSF(University of California San Francisco)界隈では、それこそ週末毎のパーティがある。土曜・日曜ともなると必ず、仲間の家に招かれる。皆、一皿の料理をたずさえてゆく。ひとつのお皿にひとつの幸福という意味のポットラック形式だ。

カウボーイの豆スープ、アメリカのママの味、そしてホームメイドのケーキ。おかげでアメリカン・レシピをたくさん伝授してもらった。私は「ジャパニーズ・チラシ寿~司~」持参だ。

ある晩、ピーターの家でパーティだという。晩に招待するからには、ディナーだろう。お腹ペコペコ状態で伺った。「ハーイ♪ピーター」にこやかに挨拶したが、様子がヘンだ。あろうことか、客人達は皆でギョーザの皮をこねている。陽気に「 ヘーイ! 」と粉だらけの手を上げ歓待してくれた。

ギョーザを皮から作ってんだ、先は遠い…。見たとたん、私達は空腹でヘナヘナと倒れそうになった。「 おなか すいた 」ズラリ並べたご馳走で歓迎する日本とは勝手が違う。この時からだ、アメリカ人の感覚が、あの広い大陸のスケールなのだと悟ったのは。

アメリカで長男がポスドクの研究生活だった頃、UCSFのピーターのもとを訪ねたことがある。夫妻に里親のように暖かく迎え入れられたと聞く。幼い頃、この研究室で遊ばせてもらった長男は、ピーターのいる界隈をアメリカで一番 ホっとする場と称している。

月日を経て、明け方の地震という特殊な日に再会した、ピーターの娘 ジャーレー。私達夫婦は日本の里親の役割が果たせたかしら。流暢でない相変わらずの英語でごめんね。

ピーターとテレサのもとで育った彼女だ、アクシデントにはめっぽう強いらしく、地震余波の交通ストップを ものともしていなかった。ピーターとテレサは元気にやっていると聞く。彼らのことだ、以前とちっとも変わらず おおらかで優しくスケール大きいに違いない。

以前の来日の際、ジャーレーのグランマが やおら外して お礼にと私にくれたブレスレット。今回それを旅のお守りとして彼女に託したサンフランシスコまで GOOD LUCK!!


プロフィール

Diva

Author:Diva
中野陽子

声楽家 ソプラノ歌手
山田耕筰の孫弟子
声楽の健康科学 研究者


相愛大学音楽学部
声楽科卒 芸術学士
・109才まで現役指導者
 故 嘉納愛子氏に師事


サンフランシスコ
コンサーバトリー
音楽院[4年制音大]
にて研鑽を積む


大阪教育大学大学院
教育学研究科
健康科学専攻
人間科学コース
発達人間学研究修了
修士(学術)


ハルカスを拠点として、マスメディア・デパート・大学関連講座の講師をつとめています


●読売新聞大阪本社・讀賣TVを運営母体とする文化センター講師


●ハルカス近鉄本店 文化サロン他 講師


●大阪健康福祉短期大学
健福ハルカス大学 講師


声楽を軸に、歌う日々やサンフランシスコ暮らしの懐古をエッセイ風に綴ります。

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