ママの縫ったドレス

幼い頃から、服は母が器用にいつも縫ってくれた。

小学校の入学式の朝、
髪にコテをあててカールしてもらって
手縫いの服に身を包みピカピカの一年生になった。

洋裁が得意な母だった。
時間を忘れてミシンをカタカタ踏む。
それは、しばしば夜なべ仕事になった。

できあがった作品は、誰より一番に 父に見せる。
嬉しくて得意げな表情に 父も「ほぅ」と口元をほころばせていた。
そして、娘の私に着せてみる。

七つの歳の発表会。
叔母のピアノ伴奏で「おつかいアリさん」を歌ったのが
初めての舞台デビューといえばそうだろう。
やはり ハンドメイドの服じゃなかったかなぁと、
遠い記憶をたぐりよせる。

ずうっと そんな期間が続いて月日が過ぎ、
私は少女へと成長した。

ある時から、お店で売っている服の方がステキに思えて
母の作った服を パタリと着なくなった。

忘れもしない、徹夜して縫ってくれたアップルグリーンの
パフスリーブとギャザースカートのワンピース。
「着ない」…
流行りの服は、このようなお嬢さんファッションじゃない。

悲しそうに母は、
一針一針 心はずませ縫った洋服を そっとたたんで
涙と一緒にタンスの引き出しにしまった。

涙のアリア (Lascia Ch'io Pianga) オペラ リーナルドより

以降は『アンアン・ノンノ』の
リセやフォークロアやカントリーの世界にどっぷりだ。
超ミニスカートで音大のキャンパスを闊歩もした。

それでも時は移る。
クラシック歌手を志して演奏の機会が増えた頃、
ステージ衣装は再び母手縫いのドレスへと自然に戻っていった。

既成のコンサートドレスを求めて、
デパートの売り場を足が棒になるくらい歩き回りもしたが、
気にいるものがない時も多い。
「やっぱりママのがいい、縫って」…
手縫いが舞台を守ってくれるように感じられるのだろうか、
げんきんなものだ。

舞台中央の立ち位置へ進み出るまで長い距離、
広い広いフェスティバルホールでの
あの頃から思えば一世一代のオペラ・アリアも、
手縫いのコスチュームでのぞんだ。
ウェディングドレスは母に作ってもらうのが希望だった。
花嫁のヴェールだけを お店で購入、
愛情が縫い込まれた白いレースのドレスが夢を叶えてくれた。

201304012246.jpg 
( Wedding doll と San Francisco Opera shop のカップ )


「この ご本の中から好きなデザインを選びなさい」と
スタイル・ブックを渡され、イメージにピッタリの布を捜しに、
心斎橋の生地屋さんへ 母娘で連れだって よく出かけたものだ。

コンサートドレスともなると大作だ。
人が集い賑わう家業を盛り立てる若奥さんとして
忙しかったはずなのに あのパワーは何処からきてたのだろう。

折々 服は処分していくが、
洋服タンスには、丹精込めて縫ってもらったものを残している。
また 母なき今は プロ製作の衣装を着用するが、
時折 古い昔々の手縫いドレスを引っ張り出しては、
コンサートで再活用して歌っている。

思い出のグリーン・グラスに包まれる気持ちになる。

童謡をいつも口ずさみながら
子育てと家事の合間に洋裁で作ってくれたドレス。
お守りなのだ。

♪~・~♪~・~♪~・ ミニ レッスン ・~♪~・~♪~・~♪

最近ピアニストの知人が独唱にハマってしまいました。いつも舞台では、ピアノに向かっているけれど、歌曲はお客様に面と向かって演奏するので まこと気持ち良いとのこと。

良い発声は良い姿勢から。舞台では姿勢を意識しましょう。

両手を上にあげバンザイ。大きく円を描きつつ、肩甲骨を引き寄せるようにゆっくりと腕を下ろします。これだけで姿勢が整い、衣装や服の写り具合もぐっと良くなります。

人前といわず、誰にも見られていない普段の暮らしで、正しい姿勢と美しい発声を忘れずに …! 私達はいつも人生のステージに立っています。これが習慣になれば、お洋服も人間も上等に見えますよ!♪


プロフィール

Diva

Author:Diva
声楽家 ソプラノ歌手
健康科学(歌唱)研究者


大阪教育大学大学院
教育学研究科
健康科学専攻
人間科学コース
発達人間学研究修了
修士(学術)


相愛大学音楽学部
声楽科卒 芸術学士
・山田耕筰の孫弟子
・声楽の恩師は
 109才まで現役指導を
 貫いた(故)嘉納愛子氏


サンフランシスコ
コンサーバトリー
音楽院(4年制音大)
にて研鑽を積む


ハルカス・サロン講師


大阪健康福祉短期大学
アバンスペース
健福興隆ハルカス大学
講座 講師


♪******♪******♪


声楽とは
歌声を楽しむこと

花束の香りを
かぐように息を吸い
花びらの音符を
ちりばめて
歌いましょう♪

クラシック歌唱は
心身を健やかに導く…
そんな研究を
アカデミックに
発信しています

かつて暮らした街
サンフランシスコの
思い出とともに、
歌が紡ぐ日々の暮らしを
エッセイ風に綴ります

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